エコフィードと豚肉(後)

   2015/01/27

豚肉
エコフィードと豚肉の続編である。ハム・ソーセージ業者30社に対して、加工肉の原材料となっている豚肉にコンビニなどの売れ残り残飯を再利用したリサイクル飼料を使用しているかどうかを質問した。現時点で公開できる範囲からご紹介しよう。

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その前に、エコフィードと豚肉の前編はこちらである。

エコフィードと豚肉(前)

では本題に入ろう。「食品残渣は一切使用していない」と明確に回答したのは17社だった。そのうちの8社は、具体的に配合飼料の中身も教えてくれた。

養豚から販売まで自社で行うか、指定企業だけでまかなっているところは、飼育の履歴がはっきりしている。

Aハムでは、「指定農場との提携によって飼料も自分たちから指定。農場ではもちろんリサイクル飼料は不使用。配合飼料には遺伝子組換え農産物の配合もなし」とすぐに回答してくれた。

次に述べるように、養豚と製造が単なる取引関係の別企業である場合、製造業者が養豚業者の飼育実態まで把握できていないこともある。養豚・製造・販売一体型の業者は、その点で情報が得やすい面がある。

リサイクル飼料を使用しているかどうかが「一部不明」だったのは7社ある。これらは、原材料の豚肉を複数の業者から卸しているケースだ。

たとえば、そこに輸入豚肉が含まれると「飼育履歴を追跡できない」(Bハム)という。ただ、彼らによれば「輸入の場合は、大規模パッカー企業が多く、飼料も自社で生産・配合するところが多いと思われる(主に加工用は、デンマーク・カナダ産が多い)」(Cハム)という。

もっとも、中には国内業者から卸しているのに「データなし」(Dファーム)「現在飼料等の規格書は保存していない」(Eハム)というケースもある。

「原料肉の80パーセントを占める生産者の豚に関しては確認がとれるが、他の肉は、地元生産者の豚肉を市場にて購入の為、リサイクル飼料を使用しているか否を特定するのは困難。時節柄、原料肉納入業者には、その点について飼料規格書をお願いする」(Eハム)

最後の一文は、今回の筆者の質問が背中を押したのだろうか。

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「(特定困難の部分は)使用が一部に限られることから、エコフィード使用はほとんどないと推測」(Fハム)というのは業界大手業者の言い分だ。もし今後普及が進めば、その「推測」は見直さなければならなくなるだろう。

「一部使用している」のは2社。

「取引先が排出した残飯を飼料にした豚肉を原料とした、その取引先専用のギフト製品を製造」(Gハム)

「10年以上前から肥育用飼料として一部使用」(Hハム)

さらに、現時点で調査中との回答が4社だった。

結論として、全面的にエコフィード由来豚肉を使っていると回答したハム・ソーセージ業者は1社もなかったことになる。

彼らによると、現在「使えない」とする理由は次の通りだ。

「徹底した防疫管理と最新の飼養技術に則った飼育を行おうとすると、現在のリサイクル飼料はコストも安全性も問題がある」(Iハム)

「(リサイクルは)悪いことではないと思うが、高脂肪飼料では肉質も落ちるしメリットがなくコストもかかるとなれば使う意味がない」(Jハム)

ただ、回答を見ると、部分的な使用は「2社」だけでなくプラスアルファはあると思われる。それが今後急激に増えていくかどうかは、筆者は専門家ではないのでわからない。いずれにしても大事なことは情報を公開することだ。科学的認識の啓蒙は、国民の納得と信頼を得た所から始まる。事業者は消費者との信頼関係を大事にして欲しい。

消費者も、気になることがあったら筆者のように可能な範囲で調べてみることをお勧めする。今はインターネットもあるし、対面のヒアリングでなければ情報を得られないわけではない。こうして調べることで、飼育・卸し肉の実態や業者の考え方を知ることができるだけでも収穫はある。自分の知らない世界を知るというのは楽しいことだ。

今回は数がまとまらなかったので発表しなかったが、とんかつやステーキ、餃子や焼売、焼き豚等の業者についても筆者は調べている(凝り性)。前回ご紹介したように、業者によっては、ニッポンハムのようにブランド豚肉を売っている所もある。肉製品だけではなく、精肉業者も可能なら調べてみたいと思っている。

それにしても、30社調べてシカトがゼロというのは、予想以上の回収率だった。各社には改めて感謝したい。それに比べて、一応学術の側にある関連学会の対応は残念である。このことに限らず、国民側と研究者側の垣根を研究者側から取り除こうとしないかぎり、科学や技術に対する国民の信頼を獲得することはできないだろう。

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