いずみの会の「驚異の生存率」は本当なのか?

   2015/03/02

驚異の生存率
いずみの会の生存率が驚異であるかのように宣伝する『論より証拠のガン克服術』(中山武著、草思社)という書籍について以前触れた。がん患者やその家族とすれば、気になるテーマである。いったいどんなことが行われているのか、自分もあやかりたいと考えて当然だろう。しかし、その数字が合理的な根拠も実態もなかったら?

詳しくは以前の記事をご覧頂きたい。

「いずみの会」の「驚異の生存率」を調べる

簡単に内容についてふれておくと、同書は序章に会員の「生存率」が97%であると書かれ、450名を超えるガン患者会員が元気に生きている!と自慢している。

もちろん、がん患者が元気で生活しているとしていること自体をとやかくいうものではない。

が、問題は本当に「驚異の生存率」といえるのかどうかだ。

同書では、入会後半年以内に亡くなった会員は、会員としてカウントしていないと書かれている。

そのような「幻の会員」が24名。

つまり、本当の末期は初めから入れない会なのだ。

そして、会員の病歴リストを見ると、103人中、半分近い50人がステージ1、末期のステージ4はたった5人、再発転移も7人しかいない。

つまり、もともと通常治療である程度の割合で生存できる人たちが会員なのである。

何より、その生存率というのは、個々のがん患者のものではなく、全体の数字を示したものである。

ガン発病後、4年目に亡くなった会員がいたとして、その人は3年間は同会でいう「生存率」の上昇に貢献する。その間、新加入する会員は当然生存しているわけだから、要するに、新会員が入れば入るほど単年で見れば会の生存率は上がるということなのだ。

つまり、がん患者が会に入れば生存できる、という根拠も実態もないのである。

西洋医学全否定でどれだけの人の命が……

いずみの会の「驚異の生存率」については、ネットでも懐疑的、批判的に語られている。

その理由は、がん患者に期待を持たせるのはともかく、同会の西洋医学全否定の姿勢のために、いったいどれだけの人が適切な治療を受け損なっているか、ということである。

通常治療は、伊達や酔狂で抗がん剤や手術を行っているわけではない。

いずみの会は、冒頭の「生存率」を示す数字の説明で、亡くなった人を「犠牲者」と書いている。

これではまるで、“凶悪犯”通常治療の毒牙にかかった、といわんばかりである。

だったら、生存者だって通常治療の結果だろう。

要するに、いずみの会は、生存するのはいずみの会のおかげ、亡くなったら通常医療のせい、と言っているのである。

そんな身勝手な話はないだろう。

ここに、民間医療や健康食品を含めた、通常医療否定派の共通したレトリックをみることができる。

つまり、通常医療がまれに誤診があると通常治療を全否定し、民間療法で生還したかのように見える例がまれにあると、まともな検証もないまま、その民間療法が救世主のように喧伝するのだ。

結論

一部にドクハラや見立て違いなどがあったとしても、それをもって直ちに現在の医療が全否定されるのもおかしいだろう。

がん治療は決して生易しいものではない。

治療が辛かったり、遺族が亡くなったりすると、医療にうらみの矛先を持って行き、西洋医学否定の主張にやすやすとのっかってしまうのだが、いかなる民間療法も、西洋医学の通常治療に叶うものはない。

その現実も忘れてはならないだろう。

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