「メタボ」=病気かどうかを調べる

   2015/04/24

メタボと交絡因子

メタボ。正式にはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という。昨今、このメタボが健康上好ましくないという風潮がある。その要因として、高血糖、脂質異常、高血圧が引き起こされるリスクがあるというのだ。もちろん、生活習慣の改善によって、そのリスクを減らすことは悪いことではないが、そもそもメタボの基準というのは様々な見解がある。スケプティクスに考えてみよう

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「読売新聞」(3月1日3時16分配信)に、次のような記事が出ている。

生活習慣病とメタボ腹「関連強くない」…厚労省研究班

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、下方浩史・国立長寿医療センター(愛知県大府市)研究所部長を班長とする厚生労働省研究班がまとめた。

メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそうだ。

研究班では、無作為に選んだ愛知県内の40?82歳の男女3253人について、内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。

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肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが女性では差はあまりなかった。6項目すべてで差は1・5倍未満にとどまり、「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)と分析された。

メタボの基準では内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に危険が高まるとして、それに該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が定められた。今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。

交絡因子は?

「日経メディカルブログ」に書かれている北澤京子氏の「医学論文を斬る」に、「メタボリックシンドロームは脳卒中と無関係?」という記事がある。

「斉藤功、小西正光、渡部和子、近藤弘一、藤本弘一郎、岡田克俊『地域集団におけるメタボリックシンドロームの脳卒中罹患に及ぼす影響について』日本公衆衛生学会誌2007; 54: 677-83」という論文についての論評である。

同論文は、「日本において、メタボリックシンドローム(以下、メタボと略)の診断基準を満たす人は、そうでない人に比べて、脳卒中の罹患が増えるかどうかを検証」した。

愛媛県旧O市(2000年の人口は約3万9000人)で、1996年から98年に基本健康診査を受けた40歳以上の男女4672人中、脳卒中の既往がある人を除いた4627人のコホート研究(筆者注、過去ではなく、そのときから未来がどうかを調べる研究)で、結果は、「メタボありの人でも脳卒中罹患リスクは有意に上昇しない」という。

北澤京子氏はこの論文について、「未知の交絡因子(筆者注、付随する他の要因)が存在する可能性を否定できないものの、結果はほぼ信頼できるのではないかと思われます」としている。

筆者も、メタボで「予防」する疾患は「ウエスト何センチ」という一律数字それ自体の意味よりも、「未知の交絡因子」をさらに調べることの方が重要であろうと思う。

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