「2人に1人が『がん』になる」という”トリック”で考えたこと

   2015/04/25

「2人に1人が『がん』になる」という"トリック"で考えたこと

「2人に1人が『がん』になる」。これは、生命保険や損害保険などの医療保険、それに健康食品のセールストークでしばしば使われる脅し文句、いや、惹句だ。

ところが、現場の保険募集を行ってきた後田亨氏が、「2人に1人が『がん』になる…のは何歳から?」というコラムのなかで、その惹句について「『物は言いよう?』という感想を持った」と興味深いことを書いている。

財団法人がん研究振興財団が発行している「がんの統計07」の中にある「年齢階級別罹患(りかん)リスク」という表によると、50歳よりも前にがんになるのは、男性で2.2%、女性で4.4%に過ぎない。つまり、50歳以前なら、実はがんは「95%から98%の人が無縁」ということだ。

では、どのくらいの年齢になると切実になるのか。男性なら79歳ではまだ3人に1人、84歳までに5人に2人と増え、85歳以降がんにかかる人を加えると、言われている「2人に1人」に届く。

同様に女性は、80代前半になって4人に1人を上回るが、3人に1人になるのは、85歳を超えた人も対象にしてからのことである。より高齢者に絞った統計にすれば、がんになる確率は少しずつ高くなるわけだ。

だから、「2人に1人が『がん』になる」のは間違いではないが、「平均寿命以内なら5人のうち4人はがんにならない」という言い方もまた真だということである。

がんに「なる」統計の最も多い数字をもとにした言い方と、「ならない」統計の最も高い年齢の数字をもとにした言い方では、それだけ違ってくるわけだ。

さらに後田亨氏は、この統計を前提に売れ筋の「がん保険」に30歳で加入すると仮定した試算も行い、それによって有り難みを感じることは限定的なケースであるから、保険に加入するお金があるのなら、「普通に貯蓄していけば『がん以外のリスク』にも備えられること」も勧めている。

がん保険というのは医療保険のひとつだが、対象の疾病をがんに絞った保障にしている。がんに対する保障のため、被保険者ががんであることが公然としていなければならないが、昨今のがん治療は告知する傾向にあるため、こうした保険も成立するようになった。

保険期間は終身タイプと定期タイプがある。チューリッヒのように、どちらも用意している会社もある。保険契約者のみを保障する本人型と、配偶者も保障する夫婦型を用意するものもある。

「積立ガン保険」(チューリッヒ)のような例外もあるが、主力商品は保険料掛け捨てタイプである。

保険金の支払いについては、支払った分を保険で実費補填する「実損填補型」と、所定の状態になったときに一定額が給付される「定額給付型」とがある。

がん保険は、がん治療に便利な保障がセットされている有意義な保険だ。ただし、医療保険でもある程度の保障はある。

がんは疾病のワン・オブ・ゼムだから、医療費そのものの保障という考えなら医療保険を第一義的に考えるべきであるし、上乗せとしてがん保険に加入するなら保障額はその兼ね合いで検討すべきものである。

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