ガンマナイフの真実

   2015/04/26

ガンマナイフ

ガンマナイフというのをご存知だろうか。果物ナイフのような刃物ではない。定位放射線治療というものを行う放射線照射装置のことである。要するに、放射線を定まった位置にピンポイント的に照射してがん細胞をやっつけるので、そう命名したということだろう。今回は、そのガンマナイフについて書いてみたい。

『東京スポーツ』(2009年5月20日付)が「転移性脳腫瘍97%根絶」とのタイトルで華々しく報じているのが「ガンマナイフ」だ。

今や国民の3人に1人が、がんで命を落とす時代。症例数5300を超え、国内外からその優れた手腕が評価されている名医、東京女子医科大学・脳神経外科の林基弘講師は次のように説明する。

「ガンマナイフとは、病巣に目がけ、ガンマ線をピンポイントで照射する方法です。その精度は最新の機器で0・1?単位。正常な細胞を傷つけることなく、悪いところだけを集中して叩くことができるのです」

開頭せずともメスと違わない”切れ味”は、まさに”手術”そのもの。神の手を発見、正確に病巣を治癒せしめる。

治療は、患者の頭部に装着したヘルメットのようなフレームに開いた201個の穴を通して、ガンマ線が1点に向かって出る。それはあたかも虫眼鏡で太陽光を集めるのに似ている。

「脳内の全体に放射線をかけるやり方では、広い範囲で脳内白質という神経線維がダメージを受け、数年後に認知症などの重い合併症が生じる可能性が高い。しかし、ガンマナイフはそうした心配がありません」(林講師)

ガンマナイフなら、転移性脳腫瘍が「97%以上の確率で治癒あるいは縮小する。その結果、以前は転移性脳腫瘍による死亡が85%以上あったが、現在は15%にまで激減した」という。

林講師は「転移性脳腫瘍での平均余命は、10か月といわれてきました。しかし、今はほとんどの人が、脳腫瘍で命を落とすことがなくなってきました。それどころか、巨大な脳腫瘍でさえ、外科手術にガンマナイフを併用することで、死のふちから生還した人が増えています。帰り先がホスピスから自宅になったという人も少なくありません。決してあきらめることはないのです。がんと闘う患者に希望を与えるガンマナイフは、まさに心を治すメスでもあるのです」と話す。


さて、今回ご紹介した記事だが、筆者はいつものような裏取り取材はしていない。

スポンサーリンク↓

この記事に、成果と限界が正直に書かれているからだ。

つまり、転移性脳腫瘍に対して有効であるが、あくまでも「転移性」であるということだ。

林講師は「転移性脳腫瘍での平均余命は、10か月といわれてきました。しかし、……死のふちから生還した人が増えています」とコメントしているが、ここで主語になっている脳腫瘍は、「転移性」であるかないかが曖昧である。

「巨大」な腫瘍の場合、やはり従来の外科手術が必要ということは、転移した小さいがんではなく、腫瘍が大きくなった原発巣には適応がない、または補助的な役割しか持たないということだ。

スポンサーリンク↓

また、「開頭せずともメスと違わない”切れ味”」などと大仰に宣伝したら、我々一般の人からみれば他の臓器がんだってそれで行えばいいではないかという話になるだろうが、そういう展望は書かれていない。

ガンマナイフは、かなり限定的なケースでの治療法ということだ。

もちろん、限定的であれ、画期的な治療方法であることは確かだ。ガンマナイフのメリットは同一病変でなければ、何度でも治療が行える。入院期間も短くて済む。メスを使う手術に比べると患者に対する負担とリスクは格段に軽減している。

放射線照射をメスのように使う治療では、拉致被害者の曽我ひとみさんが、帰国後の身体検査で5ミリの非小細胞肺がんが見つかり、ガンマナイフのような厳重な固定はしないサイバーナイフで治療。すでに5年を経過している。

ただ、適応は正確に述べ、現状での限界もきちんと述べておいた方がいいと思う。

健康情報・本当の話

健康情報・本当の話

  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。