オウム幹部・井上嘉浩の死刑が確定する

   2015/03/24

オウム真理教元幹部・井上嘉浩の上告審判決が10日、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)で開かれ、被告の上告を棄却。死刑が確定する。地下鉄サリンなど10事件の関与で殺人などの罪に問われていたオウム真理教元幹部・井上嘉浩。1審の東京地裁判決では、「(地下鉄サリン事件での井上の役割は)後方支援か連絡調整役にとどまる」との判断から無期懲役とした。

オウム真理教井上嘉浩

しかし2審・東京高裁判決では、1995年3月20日、営団地下鉄(当時)3路線の5電車でサリンを散布して計12人を殺害した「地下鉄サリン事件」において「総合調整役として極めて重要な役割を果たした」と認定。死刑が言い渡されていた。

井上嘉浩は16歳で教団の前身「オウム神仙の会」に入り、教団では「諜報省大臣」を務めたいわゆる「叩き上げ」。弁護側は「2審は地下鉄サリン事件での役割を過大視し死刑の結論を導いた。

被告の反省も深まっている」として死刑回避を求めていたが、憲法判断を争う最高裁で覆る可能性はないと見られていた。

教団による一連の事件で、死刑が確定したオウム関係者は井上嘉浩で9人目となる。

江川紹子氏は井上嘉浩について、こう語っていた。

例えばオウム真理教の中で、幹部としていろいろな犯罪に関わりながら、今ではオウムで何が行なわれていたかを法廷で明らかにし、むしろアンチオウムの立場になっている井上嘉浩という青年がいます。彼はもう絶対オウムに戻ることはないと思います。でも何か聞いているとずれてくるのです。どこがずれてくるのだろうということでずっと裁判を見ていましたが、私にはよく判りませんでした。それについて、カルト問題に関わってらっしゃる心理学の専門家の方が何度も遠来を重ねて心理鑑定を行い、法廷で話されたことは、「結局マインドコントロールが100%解放された状況ではない」ということでした。

 つまり麻原教からは脱したけれども、今度は別のものが彼を支えているということです。例えば彼の中では、チベット仏教がオウムの柱になっているのですが、彼には弁護士や家族、その他裁判所が特別に認めた人以外は面会はできないため、正しくその仏教を教えてくれるという人もいません。そのため、本を読みながら自己流にチベット仏教なるものに接近しているようなのです。

 ですから、その先生の話によると、麻原教から井上教になったか、あるいは井上流のチベット仏教になっただけで、思考の方法や何かに依存している精神状態は根本的に変わったとはいえないのではないかということです。また、想像力がまだ弱いですから、オウムに感情をマインドコントロールされていたがゆえに起きていた諸々の問題点がまだ全部解放された訳ではないともいわれています。それを聞いてなるほどと私も思いました。このことから、マインドコントロールというのは行くか出るかではなく、段階的にーいろいろな濃さの白と黒の間には灰色がありますがー、そういった状態であると考えた方が良いのではないかと思う訳です。(シンポジウム「日本におけるカルト教団の実体と問題点」より)

井上嘉浩は地下鉄サリン事件以外にも、94年の元信者ら2件の殺人事件に関与したとされているし、95年には目黒公証役場事務長を拉致し監禁、死亡させた。

ここで、情状酌量で死刑が回避されるなら、宮前(岡崎)一明だって意図や動機はなんであれ、坂本事件解決のきっかけを作ったのだから死刑にまでするのは……、という話になってしまう。

事件を明らかにしても、アンチオウムであっても、犯した罪は罪、ということで裁かざるを得ないだろう。

そういえば、昔、井上嘉浩とお茶を飲んだことがある、と自慢していた知人の女性に、井上嘉浩やオウムのやったことを批判的に話すと、「科学や法律で世の中の全てが決まるわけではない」と言い返していたっけ。

別にその女性は、オウムの信者ではなく、とくに信仰があるわけでもない普通の人だ。

井上嘉浩には、そういう普通の人の価値観にも抵抗なく入れる能力があったのかもしれない。

もっとも、その頃井上嘉浩はテレビで取り上げられていた「有名人」だから、自分とお茶を飲んでくれた有名人をかばいたかっただけかもしれないが、どんな理由だろうが、その女性のような是々非々を貫けない心の隙がある限り、人間社会からカルトもカルト団体もなくなることはないだろう。

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