チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出るのか?

   2015/02/12

チョコレート
チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る、なんていわれることがある。チョコレートといえばごくありふれたお菓子である。それを食べ過ぎたからといって体に害があるのなら、スーパーではなく薬局で扱わなければならなくなる。今回はチョコレートと鼻血問題についてスケプティクスな立場から書いてみた。

健康食品というのは、何もキノコ系や海藻から化学的に抽出したものばかりではない。文字通り、私たちが普段食べている食材・食品について、その中の成分をとりあげて「健康にいい」と宣伝される場合がある。

たとえば、チョコレートがそうだ。

子どもの頃、チョコレートをたくさん食べるとよく言われたものだ。
「チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出るよ」

チョコレートといえば、楽器で言えばピアノのようなもの。ピアノがそれ単独の演奏でも、オーケストラの伴奏役としても使われるように、チョコレートの使い道もいろいろある。

板チョコやエアロチョコのようにそれ単独で食べるだけでなく、ヌガー、ナッツ、ビスケットなどセンターの上にチョコレートをコーティングしたエンローバーチョコ、ココア、チョコレートを使ったチョコ菓子などもある。

ではそんなチョコレートに、血圧を上げたり血管をもろくしたりする作用があるのか。だとすればスイーツ党にとっては大変だ。が、結論から述べると、チョコレートの食べ過ぎによる鼻血説に科学的根拠はない。

では、どうして鼻血が出るといわれるのか。

甘くておいしく、エネルギー源になるチョコレートは本能的に子どもにとっての大好物だ。食べ過ぎることで食事がおろそかになったり、むし歯の原因になったりすることから、戒める方便にそう言われるようになった可能性はある。

チョコレートには、そのような俗説を生みやすい根拠らしきものはたしかに存在する。

チョコレートは、カカオ豆由来のココアバターやカカオマスに、砂糖、香料などを加えて固めたもの。したがって、その成分で最も多いのはショ糖と乳糖である。

これらはすぐにエネルギーとして吸収される。とくに脳は栄養源に糖を求める。また、チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、カフェインによく似た物質で脳を刺激する。心臓血管や中枢神経に作用して、リラックス効果がある健康成分として宣伝されている。亜鉛、カリウム、食物繊維なども含まれている。

どのくらいの効果があるか、具体的な数字は食べる量やその他の因子によるが、とにかくチョコレートが勉強や仕事のエネルギー補給に役立つことは間違いではない。しかも、ショ糖と乳糖は血糖値を上げて空腹を一時的に抑える。

つまり、血液に活力を与えることが、血管を破って鼻血が出るという想像につながるのではないだろうか。

また、甘いチョコレートを食べ過ぎると、飲み込んだ後も喉の奥にチョコがついたままになる。それが、喉が焼けるような感覚があることから、チョコのパワーで血管まで破れてしまうような言われ方をしたとも考えられる。

まことしやかに鼻血説を強調する人々には、チョコレートにチラミンという成分が含まれていることを根拠とすることもある。

チラミンというのは、神経からノルアドレナリンという副腎から血液に放出されるホルモンのこと。これによって血圧の上昇や血管の急激な収縮・拡張などがおこる。そこで、粘膜が腫れたり血管が破れたりすることにつながるというわけだ。

もっとも、それはチョコレート以外にもチーズ、赤ワイン、バター、筋子、トリレバーなどに多く含まれているもので、食べ物に含まれる量では鼻血や粘膜の腫れなどは起こらない。

まあ、カリウムが含まれているからと言って、果物を食べて腎不全にならないか、と心配するようなものだ。

そういう食べ物事大主義は、フードファディズムの一種だと筆者は考えている。

いずれにしても、それは主食ではないから、健康な人が常識的な量を食べる分には問題ない。

ただ、MAO阻害剤と呼ばれる取り扱いの難しい抗うつ薬と、チラミン含有量の多い食品を一緒に摂取すると、血圧が上がるという報告はある。まれにチョコの食べ過ぎで頭痛が起こる場合などはそれを疑う人もいる。

ちなみに、性的な興奮状態で鼻血が出るという話も俗説である。

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