適量飲酒を健康とする「Jカーブ効果」に落とし穴!

   2015/02/10

Jカーブ効果は怪しい

適量の飲酒は「百薬の長」ということわざがあるから、何か根拠があると思われているかもしれません。実際に現役の医師のサイトなどでもそのような根拠がないわけではない、とされているところもあります。本当なのでしょうか。

その根拠というのは、(社)アルコール健康医学協会のもので、全く飲まない人を1とした場合の各飲酒量ごとの相対的な死亡率をグラフにしたところ、全く飲まない人よりも「適量」の死亡率が低く、たくさん飲む人は高くなっているというJ字型の統計のことです。

しかし、その統計には見落としている点がある、と指摘しているのは吉田たかよし医学博士。「東京スポーツ」(6月6日付)の「日々是アンチエイジング」で興味深い指摘をしています。

「カリフォルニア大学(米国)などの国際研究チームが、飲酒と健康状態との関係を調べた代表的な54本の論文を再検証した結果、Jカーブ効果には大きな落とし穴があることが分かったのです。糖尿病や肝臓病など重い病気を患うと、飲酒は厳禁です。だから、飲酒量の調査をすると、病気のために飲酒をしない人が必ず含まれます。これを単純に集計すると、全く飲酒をしない人は適度に飲酒する人より死亡率が高いという結果が表れてしまうのです。つまり、お酒を飲まないために死亡率が高くなったのではなく、病気の人がお酒を飲まなかっただけだということです。適量を超えた飲酒が健康に良くないのは当然ですが、適量以下の飲酒は健康に悪くもないが良くもないというのが医学研究の結論です。」

統計というのは、そもそもそれだけで因果関係を結論付けられるものではありません。たんに、○○○という条件の時□□□という結果が出た、というだけの話です。しかも、その条件も勝手な類推は入れるべきではありません。

適量の人の死亡率が少ない、というのは、「調べたサンプルのうち」という言葉がその前に入ります。そして、「調べたサンプル」からは病気の人は入っていないので、サンプル自体が偏っている可能性があるのです。

健康ブームの中で、健康に良いという情報があれば、どんなことでもやってみたいと思うのが人情かもしれませんが、こういう曖昧な統計を根拠とした情報にのってしまうことで、健康には逆効果になっしまうかもしれません。十分に気を付けたいところです。

「タバコと酒」の健康常識はウソだらけ (WAC BUNKO)

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