朝バナナダイエットの方法がいまだに廃れないが本当に有効?

 

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朝バナナダイエット、というものがひと頃流行した。朝にバナナを好きなだけ食べると、脂質や糖質の代謝を促すビタミンBと、便が出やすい食物繊維によって、ご飯を食べてもダイエットになる。そんな話がまことしやかに巷間広がったものの、いつしか萎んだが、完全に廃れたわけではないらしい。今日は朝バナナダイエットについてスケプティクス(懐疑的)に見ていこう。

朝バナナダイエットというのは、要するに同じ人間の胃袋で、少なくとも今まで以上にバナナを食べれば、その分だけごはんやおかずを食べなくなる。その分が「ダイエット」になるだけのことである。

すでに朝バナナダイエットが流行した時、医師・作家の米山公啓氏は指摘している。

朝食をカロリーの低いバナナにすれば痩せるのは当たり前の話。絶食と同じ理論で、ありがたがることはないんです。だいたい、ご飯と味噌汁が好きな日本人が365日、バナナで我慢できるはずがありません。最初の1、2カ月は続くでしょうが、やがてご飯を食べ始め、リバウンド太りするのがおち。1年間、バナナダイエットを続ける人がいたら、会ってみたいものです。この方法を妄信している人には“早く目を覚ましなさい”と言いたい。(「日刊ゲンダイ」2008年9月29日付)

まったくその通りである。痩せるのは満足な食事をしないからであり、バナナが肉を落とすわけではない。

しかし、ネットではいまだに朝バナナダイエットのサイトが検索するといくつも出てくる。

なぜバナナが定着してしまったのかわからないが、バナナはビタミンB群と食物繊維を多く含む代表の果物というわけでもない。

文部科学省が発表している「五訂増補日本食品標準成分表」によると、生バナナはモサモサしているようで、可食部100g中75.4gが水分である。

いくら食べても栄養分は4分の1しかない。

あとは水。そりゃ、痩せるわ…。

ビタミンB群が脂質や糖質の代謝を促すそうだが、実は同じ果物ならパイナップルの缶詰やなつめやしの方がビタミンBは多い。

このバナナダイエットは水をたくさん飲むといいそうだが、バナナに多いとされている「食物繊維」は不溶性であり、それもたった1gしか含まれていない。

水溶性はそのさらに10分の1のわずか0.1gしかない。不溶性食物繊維を摂取したいなら豆類全般に豊富に含まれている。

いんげん豆(ゆで)で11.8g、ゆであずきで11.0g、『あるある大事典II』でダイエット効果を捏造された納豆だって4.4gと、バナナの4倍以上含まれている。

水溶性は海藻類や果物に多いが、同じ果物のなつめは水溶・不溶合わせて12.5g、はっさくでも1.5gあり、バナナの1.1gを上回っている。

ちなみに、はっさくはビタミンB群が合計0.09mgで、これはバナナと同じである。

つまり、バナナにいわれる「ダイエット効果」なるものが本当なら、はっさくでとっくに実現できていなければおかしいのだ。

しかし、そんな話は聞いたことがない。

朝バナナダイエットの生活を続けていたら……

だいたい、幾種類もの栄養素を質的にも量的にも摂取しなければならない人間が、その分、いつも以上にバナナを食べて、その結果ご飯やおかずが減ったらどうなるか。

まず、通常の食事よりもバナナの方が食べやすく消化も早いから、ついバナナに手が出る。

バナナでダイエットできるのなら、バナナはたくさん食べても構わないのだろうという思いこみもあって、バナナをたくさん食べる。

だが、人間はひとつの食材だけをたくさん食べ続けることは体に良くない。なぜなら、ひとつの食材には、栄養になるものも無駄なものも、毒になるものも薬効のあるものも含まれている。

様々な食材を一緒に食べることで、それらがお互いの偏った栄養素を補完し合ったり毒を消し合ったりして人間の体に作用すると考えられているのだ。

それが、バナナに偏った食べ方をしていたらいったいどうなるのか。

バナナに含まれる栄養素しか摂取できない。

それでも摂取できればいいが、他の食材の力を借りることで栄養成分を取り込む仕組みだったら、他の食材の摂取が不十分なら、それだけバナナの栄養は摂り込みにくくなる。

バナナの毒の部分を消す食材も不足する、ということになる。

筆者は個人的にはバナナ好きだ。

包丁を使わず、手軽に摂れる携行性の栄養源だとも思う。学者によっては、熟したバナナに抗腫瘍性を発見したりもしている興味深い食材。

ただし、「手軽」であるだけに、それだけで食事の替わりになるとは思わない。

ましてや、それでダイエットなどと考えたこともない。

根拠のない用途にバナナを利用することはバナナにも失礼ではないか。

納豆、白インゲン、ココア、キャベツ……これまで、食材単品にスポットをあてたダイエット法はいろいろ取り沙汰されたが、いずれにも同じことが言える。

本当はどれも食材としての意義はあるはずなのに、全くのデタラメか根拠がないダイエット法に利用され、イメージを下げてしまった。

今、私たちが摂取する食材は、人類の長い歴史の中で淘汰されてきたどれも価値のあるものばかりである。

食べ物の中に「よい食材」「悪い食材」というイメージやレッテルを貼るダイエット法は、ダイエット法として役に立たないだけでなく、食材を弄ぶという意味で二重に許しがたいものである。

巷間、流行している健康食品については、『健康情報・本当の話』(楽工社)に詳しい。


『健康情報・本当の話』
草野直樹=著
328ページ
定価2100円(本体2000円+税)

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