母乳と粉ミルク、どちらがいいかの真相は……

 

母乳と粉ミルク
母乳と粉ミルク、どちらも赤ちゃんが生まれてから口にする大切な栄養源だ。さて、赤ちゃんが生まれて、母乳と粉ミルクのどちらで育てるべきか、迷うママもおられるのではないだろうか。中には、「母乳こそが赤ちゃんの免疫力を高める」などという説もあるが、スケプティクス(合理的な懐疑)に考えると、一概にそうとはいえない。では結論は……

回りくどく書くのはスピード時代にそぐわないので、結論から述べると、母乳であってもミルクであっても、成長に医学的に有意な違いはない

ただ、どちらも使うことがより望ましい、ということだろう。

そもそも、母乳は、母親によって出やすい人と出にくい人がいる。

母乳でなければならない、などといったら、それだけで母親の資格すら問われてしまうし、成長に支障をきたす子どもがあちこちに誕生することだってあり得る。

母乳が免疫にいいというが、逆だってあり得る。

母乳は、もとを正せば血液である。

母体の病原菌(ウイルス)がそのまま子どもに感染することだってある。

肝炎だって、エイズだって、白血病ウイルスだってそうではないか。

科学的に栄養バランスを整えた粉ミルクのほうが、おそらくは合理的で安全にに必要な栄養素を摂取できるとも考えられる。

ただ、一方で、産後の母親がおっぱいがはるのに母乳を出さなければ乳腺炎になるとか、おっぱいは自力で吸わなければならないので、赤ちゃんの顎の成長に意義があるという見方もある。

『東京スポーツ』(2015年11月13日付)の「健康常識のウソホント」という連載では、「母乳と粉ミルク、どっちがいい?」という読み物を掲載しているが、やはりそこでも、併用を勧めている。

粉ミルクの利用が一般化した現在も「母乳こそが赤ちゃんの免疫力を高める」「母乳で育つとアレルギーになりにくい」といわれる。近年の日本では、中国でのメラミン混入のような怪しい粉ミルクはないものの、もともと母乳への信奉はあつく、高じて、母乳のネット販売や、言うまでもなく、現代社会は膨り、食品や空気、水などから多様な有害物質が母体へ入る。その結果、妊婦の喫煙、飲酒と同じく、授乳時もさまざまな有害物質が母乳を介して乳児へ入るわけだ。
 そして、花粉症や食物アレルギー、ぜんそくなどを持つ母親の母乳で育った人は、後にアレルギー疾患にかかりやすいと分かってきた。つまり、花粉症や成人アトピーの超大国ニッポンでは、母乳がその遠因となる可能性がある。もちろん、だからといって母乳を全否定するのは短絡的過ぎる。赤ちゃんが母乳から受け取る多様な免疫物質は感染症を防いでくれるし、それ以外の重要な恩恵も多々あるからだ。
 結局、厚労省やWHOが勧めるように、生後数か月くらいは母乳をベースに粉ミルクの併用も認めるのが現実的な授乳法だろう。母乳原理主義にとらわれ、母親が過大なストレスを抱えるのは、母体や母乳、赤ちゃんにも良くないのである。『東京スポーツ』(2015年11月13日付)

牛乳やお餅で母乳の出が良くなるのか

ところで、当ブロクでは以前、こんな問題について述べたことがある。

【育児】牛乳をたくさん飲むと母乳の出がよくなる?

産婦人科には、粉ミルクの業者が病院公認で出入りし、母親用のペプチドミルクを勧めることがある。

ただ、それを飲んだからといって必ずしも全ての母親に母乳が出るわけではない。

上記リンクの記事では、「牛乳をたくさん飲めば母乳も出るようになる」などという説もまことしやかに伝わっていることを紹介している。

要するに、似ている栄養素のものを多量に摂取すれば、母乳がたくさん出るのではないかという話だ。

肝臓のためにレバーを食べる漢方的考え方だが、すくなくとも「牛乳をたくさん飲めば母乳も出るようになる」ということはない。

母乳に必要なのは、お母さんの血液とホルモン、そして赤ちゃん自身の乳首を吸う機会であり、牛乳のタンパク質や乳脂肪ではないからだ。

それと似たような説として、今のお母さん方ではいないかもしれないが、もう少し年をとった40代以上の方々だと、その母親は、母乳のためにと、お餅をたくさん食べさせる考え方もあったようだ。

これも、牛乳と同じで合理的根拠はない。

要するに、今40代以上の人の母親世代は、モノのないときに育ったので、まずは人間にとってガソリンである炭水化物、しかも腹持ちのいいお餅を食べておいたほうが良いと考えたのだろう。

医学でも、日進月歩で定説は変わっていく。

母親が「ねばならない」と勧めることだからといって何でも鵜呑みにせず、その都度きちんと確認したほうがいいだろう。
健康情報・本当の話

健康情報・本当の話

  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。