「がん」と抗酸化サプリメント、2つの気になる関係

 

がんと抗酸化サプリメント
「がん」といえば、その発症には活性酸素が関与しているといわれている。だから、それを制するなら抗酸化作用のあるサプリメントがいい、といわれてきた。健康食品の業者で、抗酸化という効能を述べない人はいないだろう。

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しかし、ここにはスケプティクスな問題もある。その抗酸化サプリメントが、実はがんに効くというエビデンスがないだけでなく、むしろがんを進行させてしまうという「逆効果」の可能性もあるという話である。

その話は、『日刊ゲンダイ』(2015年11月3日付)掲載の、「医者も知らない医学の新常識」という石原藤樹医師(北品川藤クリニック)の連載記事に書かれている。

活性酸素(Reactive Oxygen Species、ROS)といえば、大気中に含まれる酸素分子が変化したもので、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種類とされているる。

それらはまさに現代の病の元凶とされている。少なくとも、遺伝子を傷つけるがんの原因の一つとしての認識はもはや定着したといっていいだろう。

活性酸素は、人間の呼吸や代謝によって発生するといわれている。

もちろん、酸素をとらないわけにはいかないから、活性酸素の発生はやむを得ないとして、要はそれを除去できれば、がんの予防になるという理屈から、抗酸化作用のあるサプリメントが、イコール「抗がん」サプリメントであるとされ、健康食品の業者が盛んに宣伝しているわけだ。

しかし、そこはスケプティクスに考えなければならない。

抗酸化サプリメントにエビデンスはない

まず、市販されている抗酸化サプリメントは、そもそもがんの予防になるのか、という点である。

抗酸化サプリメントというのは、ビタミン剤(とくにCとBとE)、βカロテンなどが有名だが、疫学調査で、「がんに効く」と証明されたものはひとつもない。

もしかしたら、試験官や動物実験で、そうした効果があるかのようにいわれたものがあるかもしれないが、そもそも「抗がん作用がある」ことと、「ヒトのがんに効く」ことはイコールではない。

「抗ガン作用」と「ガンに効く」を混同するITmediaニュース

交絡因子をなるべく排除して、きちんとした疫学調査で、「がんに効く」ことを調べなければ、エビデンスがあるものとはいえないが、そうした調査で、効果が証明されている抗酸化サプリメントはない、ということである。

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それどころか、問題は「逆効果」すらあり得るのだ。

抗酸化サプリメントが逆にがんを進行させる

たとえば、ビタミンEは、前立腺がんを増やすという報告がある。

βカロテンには肺がんが増えたという報告もある。

せっかく、がんに効くことを願ってそれらを服用しても、逆にがんが増えたのでは何もならない。

石原藤樹医師は、連載でその点をこう紹介・解説している。

『日刊ゲンダイ』11月3日付

 最近、「ネイチャー」という有名な科学誌に、その答えとなる興味深い論文が掲載されました。人間の遺伝子の一部を持ったネズミを使った実験ですが、メラノーマという悪性の皮膚がんの細胞が簡単に転移しないのは、「血液の中では酸化ストレスがあって、それががんを抑え込んでいる」ということが分かったというのです。
 抗酸化剤を注入すると、それによってがんは進行して転移してしまいます。つまり、悪者のように思われた活性酸素は、がん細胞を作る原因のひとっである一方、血液に広がったがん細胞に転移をさせないような良い作用も持っていたのです。
 サプリメントはがんになる前なら一定の効果がありますが、がんになったらむしろ取らない方がよいというのが、近い将来のがん治療の新常識になるかもしれません。

これは、以前も取り上げたことがある。

痛風を起こす尿酸が「抗酸化」の作用があるという話である。

痛風(尿酸値が高い)はがんにならない、の真相

もっとも、痛風になればがんにならない、ということではないので、ここでいう「抗酸化」が、がんを抑えるほど強い力とは思えないが、少なくとも、抗酸化サプリは、そうした体内で自然にできる抵抗力すら逆につぶしてしまうということであろう。

健康情報・本当の話

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本

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