『ガッテン!』またやった!「睡眠薬で糖尿病治療」再放送を中止

 

『ガッテン』またやった!「睡眠薬で糖尿病治療」再放送を中止
『ガッテン』(NHK)という健康情報番組が、ある睡眠薬を飲むことで糖尿病の治療や予防ができるなどと番組内で明言したことについて、番組公式サイト上に謝罪文を掲載。再放送を中止した。スケプティクス(懐疑的)な立場から見れば、この番組は過去にもこうした過ちをやらかしている。今回は、そのことも含めてまとめておこう。

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『J-CASTニュース』(2/27 14:24配信)では、『ガッテン』(NHK)の当該番組再放送中止を報じている。

NHKガッテン、再放送を中止 「睡眠薬で糖尿病治療」行き過ぎ表現で謝罪
J-CASTニュース 2/27(月) 14:24配信

それによると、22日の放送は、「血糖値を下げる!デルタパワーの謎」というタイトルで放送。

ある睡眠薬を飲むことで、血糖値を下げる効果のある脳波が強まり、糖尿病が治療できるなどと説明した。

番組に出演していた医師は、「新しいので安全性が高い」「(糖尿病患者でも)わりと気軽に飲める」とコメント。

テロップでも「睡眠薬で糖尿病が治療できる」とはっきり説明され、立川志の輔も、「糖尿病、糖尿病予備軍の方、これで安全に血糖値を下げることができます!」と明言した。

J-CASTニュースによると、放送後、「医療現場を中心に放送内容を問題視する声が相次いでいた」という。

NHKも「(番組の内容に)行き過ぎた表現があった」ことを認め、「皆様に誤解を与え混乱を招いてしまった」と、28日に予定していた再放送は取り止めることとなった。

しかし、今回はすんなり謝罪したものだ。

「今回は」というのは、『ガッテン』のこうした誤りは今回が初めてではない。

そして、以前は、往生際も悪かった。

たとえば、まだ番組リニューアル前の『ためしてガッテン』という番組名だった時代には、アディポネクチンをめぐる歪曲もあった。

アディポネクチンをめぐる「ためしてガッテン」の歪曲

『ためしてガッテン』の、2006年4月5日に放送された「常識大逆転!体脂肪の新改善術」では、アディポネクチン値(血中アディポネクチン濃度)の数字の昇降が健康度に関連すると断言して問題になったことがある。

アディポネクチンというのは、脂肪細胞から分泌される分泌たんぱくであるが、アディポネクチン値(血中アディポネクチン濃度)は内臓脂肪量に逆相関するといわれている。

『ためしてガッテン』は、そこを拡大解釈したのだ。

番組では、食事や運動などの生活改善によって内臓脂肪を減らせることや、内臓脂肪がある程度減れば、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというたんぱく質が血液中に分泌され、それが血圧、血糖値、中性脂肪値などを正常にする働きがあることを紹介された。

ここまではまあいいだろう。

番組ではこれを証明する目的で、兵庫県尼崎市役所の職員4人が、3週間の「内臓脂肪の削減に挑戦する実験」に取り組んだところ、1人のアディポネクチン値が「5・5→7・0(増加)」、他の3人は「変化なし」と掲示された。

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そして、「変化なし」の被験者も「これを持続していくとアディポネクチンがどんどん増えていく」(司会の立川志の輔)と結論づけた。

しかし、被験者の中には、アディポネクチン値が「下がった人もいる」との証言を「実験の中心人物である保健師」から得たとする医療統計学者の東海大・大櫛陽一教授が、「実験結果を捏造している疑いがある」と、『週刊現代』記事(2007年4月21日号)で告発した。

すると、NHKは逆ギレして同誌に抗議。

公式サイトでは、以下のように強弁した。

「数値が変化した割合を示すと、4人のうち1人は+27%でした。また、『変化なし』と表記した3人はー8%、ー7%、ー5%でした」

「この変化率は測定器の誤差とされる±10%未満の範囲内であり、さらに、番組の監修に当たったアディポネクチン研究の第1人者に相談したところ、誤差の範囲内と考えられるという指摘をいただきました。このため、+27%の方は番組で具体的に数値を示しましたが、他の3人の方は『変化なし』と表記しました。誤差の範囲内でしかない変化は、科学的には、『増えた』とも『減った』とも言うことはできないからです」

この言い分によると、まずNHKは、「下がった人もいる」という記事の指摘を認めている。

この点だけでも、すでに『週刊現代』に「抗議」する最大の根拠を失っている。

肝心な事実関係を認めざるを得なかったNHKは、今度は解釈で対抗する手段を選んだ。

つまり、「下がった人もいる(というより3人とも下がっているのですが)」のは事実だが、それは「変化なし」といえる誤差の範囲なんだから、「変化なし」と報じたことは間違っていないというわけだ。

しかし、「科学的には、『増えた』とも『減った』とも言うことはできない」からといって、「言うこと」の根拠となる数字を隠してもいいということにはならない。

番組では、4人のうちたった1人だけプラスになった被験者について、「5・5→7・0」と「具体的に数値を示し」た。

ならば、マイナスの被験者達についても「変化なし」ではなく、同じように「具体的に数値を示」すべきだっただろう。

解釈の部分だけを見せて、もとになる数字を隠してもいいのなら、報じる側はそれこそいくらでも捏造ができる。

この件、詳細は、この書籍にでている。

健康情報・本当の話

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本


こうした誤りは、健康情報番組全般がもっている危うさである。

短時間で、さまざまな水準の視聴者に「わかりやすく」ポイントを絞り成果を見せなければならないため、往々にして、浅い根拠で粗雑な論考と早計な結論を出したがるのだ。

健康情報番組は鵜呑みにしてはならない。

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