ハイパーサーミア(局所温熱療法)の効果はどうなっているのか

 

ハイパーサーミア
ハイパーサーミア。何か新種のゲームのような名前だが、れっきとした保険適用の「がん治療」である。局所温熱療法ともいう。手術、抗がん剤、放射線に次ぐ第4のがん治療法と云われることもある。スケプティクス(懐疑的)に、ハイパーサーミアの効果や副作用、費用などについてまとめておこう。

なぜ、今、ハイパーサーミアなのか。

それは、ある事件で、連鎖的にハイパーサーミア(局所温熱療法・電磁波温熱療法)が急上昇キーワード状態なのだ。

元京都府立医大病院長(名誉教授)、千春会ハイパーサーミアクリニック院長の近藤元治医師が、強制わいせつの容疑で逮捕されたと報じられた。

報道によると、近藤元治容疑者は、入院していた大学病院の個室で、女性看護師にキスをするなどのわいせつな行為をはたらき、看護師が1月24日に被害届を出して京都上京署が捜査していたという。

近藤元治容疑者は容疑を認め、「親近感を持ってやってしまった」と話しているそうだ。

私は過去の自分の経験から、こういう事件・事故報道を額面通りまるごと信用する、ということはしていないので、その事実しか見ておらず詳細はわからない。

ただ、逮捕され、本人も容疑を認めている以上、行為は事実なのだろう。

こう言っては何だが、もしかしたら、近藤元治医師は、ネットニュースに書き込まれているコメントの一部にあるように、高齢者にあり得る、行為を自覚できない例の症状が出ているのかもしれない。

もっとも、逃亡の恐れもないのに逮捕するのは、よほどひどいことをしたのか、常習者だったのか、どちらかの可能性もあるので、来週、週刊誌が詳しく書くのだろうから、それを待ちたいと思う。

それはともかくとして、近藤元治容疑者は、ハイパーサーミアについての啓蒙書を上梓している。

そして、京都府立医大病院退官後は、地域医療でハイパーサーミアに関わり、現在はそのものずばりの病院名、千春会ハイパーサーミアクリニック院長である。

そこで、今回「近藤元治」の関連キーワードとして、ハイパーサーミア(局所温熱療法、電磁波温熱療法)が注目を集めたわけである。

ハイパーサーミア(局所温熱療法)とは何か

ハイパーサーミアというのは、局所温熱療法、もしくは電磁波温熱療法などとといわれる。

温熱療法と聞いただけで、民間療法と思う方もいるようである。

たしかに、ビワの葉療法なんて聞いたことがある。

しかし、ハイパーサーミアは、保険適用される病院の治療法である。

ハイパーサーミアの理屈

温熱療法という名の通り、がん細胞を温めて死滅させる治療法である。

人間の細胞は、正常細胞も、がん細胞も、本来42.5度以上になると急速に死に向かう。

しかし、現実に43度以上の風呂は、熱いけれど入れないわけではない。

ビートたけしの番組でやっていた熱湯風呂に入ったタレントたちが、みな皮膚が死んだかといえばそんなことはない。

正常細胞は、血管を広げて血流を良くして熱を放ち、温度を調節するからである。

一方、がん細胞は、新たに発生した細胞のため、血管も新生する。

その血管は広がらないため、熱を加えられると放熱できず、がん細胞は「43度」に向かってしまうのだ。

ハイパーサーミアの仕組み
日本ハイパーサーミア学会より

そこで、ガンのあるあたりを温め、周辺の正常細胞が血管を広げて温度を調節する中で、がん細胞のみをやっつける理屈である。

では、がん細胞を43度にさえすればいいかというと、温められた細胞は、熱ショックタンパク70、いわゆるヒートショックプロテインと呼ばれる熱耐性タンパク質を産生する。

ヒートショックプロテインは、熱耐性とともに、傷ついた細胞を修復していく。

それを利用する健康法もあるのだが、それは措くとして、がん細胞が熱耐性をもつため、ハイパーサーミアは続けて行っても効果がない。

ヒートショックプロテインは1週間で完全に消えると云われているが、72時間でピークをすぎるといわれているので、3日はあけて行うことになっている。

ハイパーサーミアの施術

現在、保険適用が認められている温熱処置の機械は、山本ビニター社製サーモトロン-RF-8という。

サーモトロン-RF8は、対向した1対の電極でがん患部を中心に挟み、8MHzの高周波を通電することで42~44度に加温する。

山本ビニター社
山本ビニター社より

暖かくするだけなので、手術や、抗がん剤や、放射線のような侵襲性がない。

まれに、太った人の脂肪部分がかたくなったとか、やけどをしたといった話はあるが、ほとんど気にする必要はない。

遠方の病院で治療するなら入院が必要だが、通えるところなら入院する必要もない。

ハイパーサーミアの効果

まず、温熱により、血流が良くなるので、免疫力がアップすると云われている。

それにより、がんの痛み緩和、食欲増進、体力回復、気分が良くなるなどQOL(生活の質)が向上する。

そして、ヒートショックプロテインの産生は、温熱によって壊れたがん細胞のがん抗原と結合してがん細胞の抗原提示を行うため、免疫細胞であるキラーTリンパ球ががん細胞を認識してがん細胞への攻撃ができる。

さらに、抗がん剤や放射線の治療と併用することで、それらの治療効果が向上すると云われている。

加温は、放射線照射により障害を受けた腫瘍細胞の修復の動きを抑制し、抗がん剤に対する耐性を持たせる物質の働きを抑えるという。

ハイパーサーミアの費用は?

支払い方は病院によって様々だ。

ただ、保険適用と書いたが、残念ながら永遠にというわけではない。

都内のある病院では、1クールが3ヶ月以内に8回。

1回あたり40分と決まっていて、それを先払いする。

途中で、再診料がかかるが、数十円である。

では8回を超えるとどうなるかというと、1回1万5000円の自由診療になる。

そして、3ヶ月後、新しいデータを提出すると、また保険適用となる。

病院によっては、最初から自由診療のところもある。

ハイパーサーミアはなぜ知られていないのか

興味深い治療であるが、手術、抗がん剤、放射線という3つの標準治療に比べると、同じ保険適用の治療でありながらその認知度は低い。

その理由は、施術する病院が少ないことがある、

施術する場が少なければ施術者も育たず症例も増えない。。

医療現場が、ハイパーサーミアに対して積極的でないのは、ひとつには採算の問題があるだろう。

場所と時間と人と高価なサーモトロン-RF-8を使う割に、儲からないことがある。

もうひとつは、ハイパーサーミアは、がん治療の決定打になり得ていないこともあるだろう。

ハイパーサーミア単独で完治できるエビデンスはない。

手術、抗がん剤、放射線という3つの標準治療は、それだけで治癒、もしくは寛解にもっていけることがあるが、その意味ではハイパーサーミアは、それら3つの標準治療よりも劣るのである。

ハイパーサーミアで、ガンは治るのか

しかし、繰り返しになるか、抗がん剤や放射線とハイパーサーミアを併用した場合、治療効果が向上する報告がある。

手術、抗がん剤、放射線など3つの治療が適応があるのなら原則としてそちらを選択するものの、ハイパーサーミアを補助的な位置づけで使うことで、3つの治療「だけ」よりも治療効果が上る可能性が高まる。

その意味では、決してハイパーサーミアが無意味ということはない。

少なくとも、根拠の怪しい民間療法にお金と時間をかけるのなら、ハイパーサーミアを検討されるのも一考である。

ただ、ハイパーサーミアは臓器ガンが対象であり、白血病や悪性リンパ腫など全身の治療を行うものは適応外である。

ハイパーサーミア―がん温熱療法ガイドブック

ハイパーサーミア―がん温熱療法ガイドブック

  • 作者: 日本ハイパーサーミア学会
  • 出版社/メーカー: 毎日健康サロン
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本

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