『知的障がい発達障がいは改善できる』は疑似科学なのか?

 

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『知的障がい発達障がいは改善できる』(鈴木昭平著、KKロングセラーズ)という新刊本が物議をかもしている。著者はエジソン・アインシュタインスクール協会という団体を立ち上げ、障害者療育を行っているという。スケプティクス(懐疑的)な立場から今回はこの書籍について論考しよう。


さっそくだが、『知的障がい発達障がいは改善できる』の何が問題なのか。

本書はタイトル通り、ダウン症、自閉などの知的障害を伴った発達障害、ADHDやアスペルガーなどの情緒的な障がいなどは改善できるとし、その具体的な方法が述べられているが、レビューを見ると、大きく、2つの問題がいわれている。

ひとつは、ネットを検索すると、著者の主宰するエジソン・アインシュタインスクール協会は、多額の会費を取り、サプリメントをすすめると指摘されていることだ。

たしかに、本書にも、EPAや玄米を推奨している。

そして、本書は、権威と信頼のある専門雑誌の論文は登場せず、もっぱら「体験談」で紙数が割かれている。

ひと頃逮捕まで出た、抗がん健康食品のバイブル本の手法すら思い出させてしまう。

ということは、疑似科学を懐疑するスケプティクスな立場からすると、否定しなければならない書籍ということになる。

そしてもうひとつは、重度障害者の親は、「改善」という啓蒙自体に批判的である。

そもそも今の医学はそれを認めていない。

つまり、障害者が健常者並みに改善(回復)することはあり得ない、としている。

さすれば、改善しなければならないとする事自体、障害者に対するないものねだりの差別だというのである。

だが、筆者の意見は、それらの立場は取らない。

そう書くと、エビデンスのない主張をするトンデモだと、疑似科学否定派は騒ぎ出すだろうね。

しかし、それは障害者のことを知らない、そして科学・医学もわかっていない者の誤解である。

エビデンスというのは、「ここまでは客観的にわかっている」ことの裏付けにすぎない。

つまり、これからわかることではない。

まあたしかに本書は、徹頭徹尾、医学を否定しているのかもしれない。

本書の前提となる主張は、医師が「障害児が健常児並みに改善することはありえない」と決めつけているから、そんなものを聞いていたら、改善できる子どももできなくなる、親が諦めてはいけないんだ、という。

もう1度整理する。

今の医学は、「障害者になった者は健常児並みに改善(回復)できない」という。

しかし、本書は、そんなことはない、と否定している。

ただし、その根拠には客観性がない、ということである。

まあ、良識あるとされる人は、客観性のない主張よりは、「今の医学」を信用するだろう。

しかし、私は「今の医学」を否定して、「諦めてはいけない」という主張に賛同する。

それは、子ども専門の独立行政法人(国立)や、名門私立大学病院の医師らが、「植物人間」と断定した我が長男が、回復した経験を持っているからである。

私の経験

我が長男は、5年前の火災でJCS300の昏睡が続き、遷延性意識障害(植物症)と診断された。

大脳基底核を損傷したため、たんに植物人間であるだけでなく、自力呼吸すらままならず、喉に穴を開け、カニューレを差し込んで人工呼吸器を必要とする状態だった。

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医師団の主治医は、「人工呼吸器だけははずせるよう頑張りましょう」と、涙が出てくるようなささやかな目標を掲げた。

もう一人の医師には、「本当は入院ではなく、家に帰ってご両親と過ごした方がいい」と、病院の措置は無意味であるととまで言われた。

つまり、「今の医学」では、「植物人間として余生が決定的です」と診断されたわけだ。

ところが、小児治療では日本を代表する医師団の案に相違して、4ヶ月目から徐々に手足が動くようになり、回復の可能性が著しく低くなるといわれている6ヶ月を過ぎてから発語があり、1年4ヶ月目に、幽霊ではなく立って自分の足で歩いて登校。

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そして、ほとんど著しい回復は見込めないとされている2年を過ぎてから、掛け算の九九をマスターした(受傷前はまだ掛け算を知らない)。

つまり、我が長男の回復は、子ども専門の独立行政法人(国立)や、名門私立大学病院の医師らが、誰ひとりとして見込めなかったことであるとともに、「今の医学」の定説をことごとく覆している。

自称疑似科学否定派は、医学の常識が覆されてたまるかと、いろいろ強引なツッコミを入れたがるだろうが、いつでも診断書は見せてやる。

ちなみに、私の妻も、心肺停止だったが、脳には何の異常もなく受傷28日後に社会復帰した。

それはともかくとして、では我が長男は、黙っていても自然に回復したのかというと、口幅ったいが、そう簡単なものではなかった。

そりゃそうだ。植物人間だもの。

まあ、ネットに出ている、脳障害者の回復情報はほとんど目を通し、その施術者と連絡を取り、その多くを実践している。

たとえば、遷延性意識障害時代には紙屋克子さん、高次脳機能障害の専門家である橋本圭司医師など、その分野の第一人者とすぐに連絡を取り、できることはすべて行った。

そうした実績のある医師の施術には、必ずしもエビデンスがあるとはいえない民間療法的なものがたくさんある。

脳は、わかっていないものであり、エビデンスという「わかっていること」だけ行っても改善(回復)は望めないから、試行錯誤と経験則で、未知の施術を行うのである。

もし、私が「今の医学」と「エビデンス」を金科玉条としていたら、我が長男は今頃、ベッドに寝たきりか、車椅子にくくりつけた生活だっただろう。

私はそれを経験しているから、医師の言うことなんか聞かないで諦めるな、という冒頭のエジソン・アインシュタインスクール協会の言い分を全否定はできないのである。

まとめ

まあ、直感的であるが、EPAや玄米で、知的障害・発達障害が治るとは考えにくい。

ただし、できことはなんでもやる、という姿勢が重要なのであり、そこまで徹底することで、結果的に改善(回復)に繋がる可能性はある。

何もしなければ何も変わらないが、何かすれば変わる可能性はある。

そこで、筆者の提案だが、同協会に入会しなくていいから、とりあえず本書に書かれていることを実践してみては如何だろうか。

たとえば、入浴中は血流が良くなるので勉強にいいそうだから、風呂の壁には、覚えたい事柄のシートでも貼ったらどうだろう。

本書は、侵襲性のあることは書かれていない。

家庭で実践できることばかりである。

本書を、エビデンスがないと誰でもわかる批判だけしても、何も変わらない。

改善(回復)するかしないかは結果である。

論より証拠で、まずはやってみることだ。諦めてはいけない。

今からでも大丈夫! 知的障がい発達障がいは改善できる

今からでも大丈夫! 知的障がい発達障がいは改善できる

  • 作者: 鈴木昭平
  • 出版社/メーカー: ロングセラーズ
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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