インフルエンザの特効薬に麻黄湯、その真相は?

 

インフルエンザの特効薬に麻黄湯
インフルエンザの特効薬に麻黄湯がクローズアップされているという話である。インフルエンザというと、12月~翌年3月ぐらいまで流行する“年中行事”。予後は悪くないが、まれに命を脅かすことがあるので、用心するに越したことはない。そこで、予防接種の有効性や治療薬の比較など話題は尽きないが、麻黄湯が効果があるとして、いま注目されているのだ。いつものようにスケプティクス(懐疑的批判的)に見ていこう。

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毎年のことだが、今年もインフルエンザは猛威を振るったようだ。

2月第1週の患者数は160万人を超え、今季初めて警報レベルに到達したという。

ところで、インフルエンザに麻黄湯、という話は、ネットを検索するとかなり出てくるようになった。

健康情報雑誌でもよく見かけることがある。

たとえば、『日刊ゲンダイ』(2016年2月20日付)でも、「オトナの社会講座」という連載記事で、堀美智子氏(薬剤師・医薬情報研究所「エス・アイ・シー」医薬情報責任者)が、「タミフルより効くって本当ですか?」という問いに答えている。

タミフルより効くって本当ですか?

記事によると、インフルエンザでは定番とも言えるタミフルよりも、漢方薬の方が効くというのだ。

「麻黄湯がインフルエンザに効果的な漢方薬です。この漢方薬は体を温めて、体に備わっている免疫力を高めて、ウイルスにあらがう働きがあります。タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は、ウイルスを殺すのではなく、あぐまでも増殖を抑える作用ですから、麻貴湯の方が理にかなっているといえます」

たとえば、タミフルは、発症後48時間以内など、薬をのむときにも注意を払わなければならないし、それでも効果は「熱の期間を平均約1日だけ短縮する」だけでしかないとされるが、免疫力を高めるのなら、「飲むべき時期」の決め方は、緩やかでいいのではないか、とも考えられる。

記事では、日本東洋医学会の「エビデンスレポート2007」に、小児患者を対象とした、麻黄湯とタミフルを比較した研究結果が掲載されていることを紹介。

麻黄湯単独、麻黄湯とタミフル併用、タミフル単独の3つに分けて調べたという。

その結果、併用の解熱効果が最も高かったものの、麻黄蕩単独でもタミフル単独より高い効果があったという。

そこで、先に述べた、「インフルエンザでは定番とも言えるタミフルよりも、漢方薬の方が効く」という結論になるわけだ。

しかし、直接ウイルスに対峙するタミフルのほうが、免疫力を高めるよりも劇的に効きそうな気がするが、なぜタミフルのほうが治療効果が劣ったのか。

以前、タミフルについて、子どもの2割に薬の効かない耐性ウイルスが見つかったという、東京大学医科学研究所やけいゆう病院(横浜市)などのグループの報告が話題になった。

インフルエンザと診断された子どもの、タミフルを飲む前と後とでウイルスを見たところ、18%に当たる9人から遺伝子の変異、すなわち耐性ウイルスが見つかり、タミフルが効きにくくなっていたというのだ。

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耐性ウイルスは、長くとどまる傾向があり、人から人へ感染すれば、タミフルが効かない恐れがあるとも書かれている。

その点、免疫力なら、耐性ウイルスは関係ない。

麻黄湯の特徴

麻黄湯は、8包ぐらいなら500円程度で買える漢方薬である。

では、麻黄湯の「免疫力を高める」というのは、具体的にどのような状態になるのか。

麻黄湯の作用の基本は、「体を温める」ということである。

麻黄湯は、麻黄、桂枝、杏仁、甘草という4つの生薬から構成されている。

具体的にどのような作用があるかというと、麻黄・桂枝の組み合わせで、体を内側から暖かくして発汗して解熱に働くといわれる。

また、麻黄は呼吸困難を改善し、利尿作用もある。桂枝は鎮痛に働くとされる。

そして、麻黄・杏仁・甘草の組み合わせは、鎮咳・痰を制御する作用をもつともいわれている。

すなわち、発汗・利尿作用(解熱・解毒)があり、体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散して治すということだ。

しかし、麻黄湯による発熱と、インフルエンザそのものの発熱はどう違うのだろう。

同紙によると、麻黄湯の場合は大量に汗をかき、一晩に4~5回下着を替えることもザラ。

40度前後まで上がる場合があるが、インフルエンザの発熱である「ボーっとする状態」とは違うという。

ただ、どちらかというと初期症状に適応があるので、熱が出たかなと思ったら、直ちに使ったほうが効果的ではあるようだ。

「麻黄湯がおすすめなのは発熱以外の症状にも効くこと。関節の痛みや全身倦怠感などの諸症状を和らげる効果は、タミフルなどには認められていません」という。

漢方薬というと、全身状態を改善するものなので、どうせ付け焼刃的に使っても効かいないのだろう、新薬のような劇的な効き目はないのだろうと思い込みがちだが、最初から決めつけずに、常備しておきたいものである。

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