『「これ」を食べればサプリはいらない』で明らかな5つの真実

 

「これ」を食べればサプリはいらない
『「これ」を食べればサプリはいらない サプリメーカー社長が教える』(田村忠司著、東洋経済新報社)という、サプリメントメーカー社長の著書が話題になっている。サプリメントというのは、本来健康補助食品であるが、食材を超える栄養補給や、薬品を超える治療薬のごとき宣伝や使われ方がされていることがあり、スケプティクスな立場からそれに警鐘を鳴らしたということだろう。

最近は、いっそうの規制緩和によって、一部サプリメント・健康食品に効能らしきものが書かれるようになったが、本来、医薬品と食品(食材・サプリメント含む)は法律上も全く別物である。

医薬品とは、病気の診断、治療や予防のために使うもので薬事法で定められる。その有効性や安全性などについて一定の審査もあり、医薬品の製造・販売には厚生大臣 又は都道府県知事の許可が必要となる。

私達が口に入れるものは、医薬品以外のものは食品になる。

たとえば、健康食品はそのひとつである。

特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品など、一見体に良さそうなものもあるが、あれらもその限りでルールを守って健康維持に役立つことが表示されているだけの「食品」である。

著者は、サプリメントといっても食品。何も高いお金を出して、かつ安全性や信ぴょう性に疑問符がつくサプリメントを買わなくても、食卓に使われる食材をバランスよく摂取したほうが健康のためにはいい、と主張する。

私たち消費者は、食べ物を普通に食べていても、生活習慣病になったのだから、特別な処方がないと治らない。

たとえ「食品」であっても、普通の食材よりはサプリメントの方が病気を治してくれそうな気がしてしまう。

しかし、著者はそこに誤認や見落としている点があると指摘する。

たとえば、第1章では、次の10点を挙げて、サプリメントを勧めない。

サプリメントをすすめない10の理由

本書によると、勧めない理由はこうなっている。

  1. サプリメントは本体の成分より添加物の方が多いほどである
  2. 名のあるメーカーでも「不当表示」など不誠実な会社が多い
  3. 合成の際に混入する不要な物質が残ったり、安全管理に不安のある中国生産が多かったりなど、材料が信用出来ない
  4. 医師の処方のように量が決められているわけではないので、複数サプリメントの重ね飲みによる過剰摂取が心配
  5. 何が必要か、また必要でないかの判断もはっきりしないまま、栄養素の含有量など情報の不足するサプリメントを宣伝だけで選んでしまう
  6. 生活習慣の改善という本質的な問題が後回しにされがち
  7. アレルギーの原因になるかもしれない
  8. 三大栄養素などサプリメントで摂取するには不適当な栄養素がある
  9. 良い食材を購入し、農業、食品メーカー、外食産業などを育てたい
  10. 本当に体に必要とされるビタミン、ミネラルなどの栄養素がないがしろにされ、摂らなくても命に別状ない成分の宣伝にメーカーは力を入れている

考えてみれば、普段、食材を選ぶときは、産地や食品添加物を神経質なほど気にしている人でも、サプリメントは、何が入っていてもあっさり服用してしまうことはないだろうか。

サプリメントを摂取することは「健康に良いこと」だから、それに比べれば、添加物がどのくらい悪かろうが、多少は悪いものを入れても構わない、と、添加物には「必要経費」程度の思いしかないように思われる。

しかし、著者は、その「健康に良いこと」自体からスケプティクス(懐疑的)な立場をとっているのである。

最後は、いわゆる「抗がん健康食品」を指しているものと思われる。

たとえば、キノコ系健康食品のβグルカンは、腸管免疫を刺激するので免疫力がアップするというが、別に摂らなくても困るわけではない。

と、述べると、いや、栄養補給ではなく抗癌のための健康食品摂取なのだから、「免疫力がアップする」だけで十分、と反論があるだろうか。

その「免疫力」について、誰も留保のつけようのないエビデンスが示された「抗がん健康食品」はこれまで皆無である。

そもそも免疫力は無限ではない。

それだけで進行がんや、抗がん剤の副作用を抑えることは難しいのではないだろうか。

サプリメント「これを知ったらもう飲めない!」

第2章は、「これを知ったらもう飲めない! サプリメントの衝撃ウラ事情10連発」という見出しで、第1章と重複する部分もあるが、サプリメントの価格と安全性と信ぴょう性という、サプリメントの本質となる3点にわたって懐疑的な内容を書いている。

たとえば、サプリメントの原価はおどろくほど低い、サプリメント広告の「使用前」「使用後」の写真の信ぴょう性は誰にも確かめられない、ネットワークビジネスに巻き込まれている、飲んでもほとんど意味のない成分が売り物になっている……など。

サプリメントメーカーの社長が著者というと、ここまで書いたら自己矛盾にならないか、という気もするが、要するに、抗がんとか、ダイエットとか、サプリメントに対して魔法のような画期的な効果を期待するな、期待させる宣伝はおかしい、ということをいいたいようだ。

食材をどう摂取すればいいか

第3章と第4章は食材についての話だが、第3章は「生活習慣」と食材の「食べ方」について書かれている。

たとえば、胃腸が悪い時は、何を食べるという以前に、胃腸を治すことが先決であるという。

高血圧を気にして降圧すると、せっかく食べても栄養素が回らないという指摘も行っている。

血液をスムーズに流すためには、「早足で歩くこと」「のんびりジョギング」に加えて、青魚やナッツ(オメガ3系脂肪酸)、きゅうり・スイカ(マグネシウム)、果物・野菜・お茶・コービー(カリウム)を摂取すると良いという。

近年流行の糖質制限にも言及。糖は体に必要なものであるから、むやみに抜くべきではない。抜くことで、倦怠感、無気力、思考力の低下など弊害もある。朝食はきちんと摂るべきであると唱えている。

糖質制限によるダイエットの危険さや、微量栄養素不足、副腎・肝臓・腎臓・胃腸の不調がある人は、安易に糖質制限してはいけないとも述べている。

第4章は、「お悩み・症状別おすすめの栄養素」として、病気の諸症状対策や食育として、具体的な栄養素と食材とレシピを紹介しています。

対象は、アレルギー、頭痛、肥満・ダイエット、月経前症候群・月経困難症、更年期障害、精力減退、循環器の健康、血圧コントロール、認知症予防、糖尿病予防、アンチエイジング、貧血、がん予防、感染症予防、放射線対策、疲労対策、受験勉強、子供の栄養などである。

たとえば、認知症予防には「カレー」だそうです。

カレーの材料であるウコンのクルクミンは、血液中のマクロファージに働きかけ、アミノイドベータという、アルツハイマー病を引き起こす危険物質を取り除くという。

しかし、カレーは油を大量に使う。そして、カレーに限らないが、加工食品、外食産業で使う油は、オリーブオイルやココナッツオイルといった「健康によい」といわれている油を使っているとは限らない。

さすれば、クルクミンを摂取するメリットともに、脂質を摂取するデメリットも考えなければならないだろう。

食べ物の「効果」を紹介するときには、食材や食品には、メリット、デメリットがあることをきちんと断っておくべきである。

まとめ

そして最終章の第5章は、「それでもサプリメントを飲みたい人に」と、補助食品として有効に使うための解説を行っている。

これはすなわち、第1章と第2章の裏返しになる。

たとえば、パッケージ(原材料や添加物)をしっかり見る、価格も大切(安すぎるのも高過ぎるのも問題)、安全基準を満たしとイルカ、専門家に相談できるかなどを説いている。

人の生活はいろいろな形態があり、サプリメントと呼ばれるものを必ずしも100%否定できるのか。

たとえば、病院の処方箋でも「ビタミンC」が出ることはある。

ただ、目的や安全性、信ぴょう性も明確でないまま、何となく「いいのだろう」とする漠然とした期待感で、サプリメントを使うのは無益どころか危険なこともある、ということを本書は教えてくれている。

もとより、述べられているように、「食べる」ことなら、まず日頃の生活や食材を見直すことこそが本質である。

「これ」を食べればサプリはいらない

「これ」を食べればサプリはいらない

  • 作者: 田村 忠司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/08/28
  • メディア: 単行本

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