『ガッテン!』のコラーゲン、糖尿病、美肌、血栓に関する虚実

 

『ガッテン!』のコラーゲン、糖尿病、美肌、血栓に関する虚実
『ガッテン!』といえば、NHK水曜ゴールデンタイムの健康情報番組である。今日発売された『週刊文春』に、『NHK「ガッテン!」を信じるな』というスケプティクスな記事が出た。コラーゲン、糖尿病、美肌、血栓に関する番組を振り返ってその怪しさを検証しているのだ。

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先月の末、『ガッテン!』が健康情報番組として問題ある放送を行ったことを記事にした。

『ガッテン』またやった!「睡眠薬で糖尿病治療」再放送を中止

今週の『週刊文春』が、それを記事にまとめている。

『週刊文春』は、「睡眠薬で糖尿病治療」以外にも、3件の問題放送を例にあげている。

1.コラーゲンで床ずれが改善(3月1日放送)
2.睡眠薬で糖尿病が治る(2月22日放送)
3.大腸がん検診に美肌効果(16年10月26日放送)
4.お化け屋敷で恐怖を感じると血栓ができる (16年5月11日放送)

コラーゲンで床ずれが改善

「コラーゲンで床ずれが改善」で検索すると、たくさんのページがヒットする。

これだけヒットしたから『ガッテン!』でとり上げたのか、それとも『ガッテン!』が取り上げたから、後追いしたサイトが続いたのかはわからないが、いずれにしても、コラーゲンについて期待し過ぎである。

コラーゲンによる治療法のエビデンスレベルは高くない。ガイドラインの『推奨度Cl』は、最も低いレベルで、やっても良いが効果があるかは分からない。そんな治療法を薦めるべきではありません。『A』や『B』レベルでようやく期待された効果が得られる 」(古田勝経小林記念病院裾瘡ケアセンター長・薬剤師)

裾瘡は、寝たきりの人に多く見られる症状で、皮膚がポロポロになり、酷いときは骨まで見えてしまいます。患者さんは低栄養の状態で、皮膚の修復も遅くなっている。そんな時に、コラーゲンの経口摂取による治療を行っても、劇的な改善は難しいでしょう 」(大竹真一郎おおたけ消化器内科クリニック院長)

睡眠薬で糖尿病が治る

ある睡眠薬を飲むことで、血糖値を下げる効果のある脳波が強まり、糖尿病が治療できるなどと番組では説明した。

しかし、放送後、「医療現場を中心に放送内容を問題視する声が相次いでいた」ため、NHKも「(番組の内容に)行き過ぎた表現があった」ことを認め、「皆様に誤解を与え混乱を招いてしまった」と、28日に予定していた再放送は取り止めることとなった。

番組に出演した国立精神・神経医療研究センター三島和夫医師は、Facebookに次のような投稿を行った。

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要は、『デルタパワー』という言葉を使って、不眠症と三島和夫医師のコメントを紐付けられたのは心外という内容である。

同誌でもこう書かれている。

睡眠薬を減らすべきなのに、僅かな症例だけを根拠に睡眠薬で安全に血糖値を下げるなんて言い過ぎです。十分な睡眠は生活習慣を改善して血糖値を下げる可能性はありますが、睡眠薬そのものが、血糖値を下げることを示した信頼できるデータはありません 」(糖尿病の食事療法が専門の灰本クリニック院長の灰本元医師)

例えば、睡眠薬は高齢者の身体には蓄積しやすく、転倒や骨折をして寝たきりになってしまうこともある。番組で紹介されたオレキシン受容体括抗薬にも、頭痛や悪夢などの副作用があります。本来、番組ではきちんと薬の負の面も伝えるべきです」(金沢大学附属病院総合診療科長の野村英樹医師)

大腸がん検診に美肌効果

腸内洗浄で大腸が一時的にきれいになることで、体内から毒が消えることは確かだが、一時的であり、また美肌というほどの効果が現れるのかは素人目にも疑問である。

むしろ、巷間にある腸洗浄を推奨することになってしまい、その方が問題である。

同誌にもこう書かれている。

大腸がん検査では、内視鏡が腸内を傷つけたり、出血させたりするリスクもある。本来、検査はメリットとデメリットをよく考慮した上で、受けるべき。『ガッテン!』のように安易に宣伝すべきではない」(大竹真一郎おおたけ消化器内科クリニック院長)

お化け屋敷で恐怖を感じると血栓ができる

これはもう、タイトルだけで「いかにも」という感じである。

番組では、アシスタントの血液を実験装置にかけ、30%も血が固まりやすくなっていたと放送した。

あの検査では、恐怖だけが原因だとは必ずしも断定できず、冷や汗をかいて脱水するなど色んな要因が絡まって、固まりやすくなったのだと考えています。百人、五百人を五年間見続けたというのなら別ですが、三〇%でも危機的とは断言できません」(番組で計測を行った川杉和夫帝京大学医学部内科学講座血液グループ)

まとめ

健康情報番組というのは、医学的プロセスではなく、ある「わかりやすい」健康効果を喧伝するための番組である。

そのためには、統計や考察を強引に結論付けることもめずらしいことではない。

医学情報は、あくまでヒトを対象にしたもので、医学の専門雑誌で厳しい学者たちのチェックを受けたものを、そのときの真実としてはじめて受け入れるべきである。

「そのときの」と書いたのは、それは将来、さらに高次の真実によってひっくり返させる場合があるからだ。

医学というのは、相対的心理の長い系列にあるものなのだ。

週刊文春 2017年 3/16 号 [雑誌]

週刊文春 2017年 3/16 号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/03/09
  • メディア: 雑誌

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