治験ボランティアの「プロ」の実態を明かした『職業治験』

 

職業治験
『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』(八雲星次著、幻冬舎)という本が3年前に出たが、今も少しずつ売れているという。内容は、治験ボランティアを「職業」としている人の体験談である。今回もスケプティクス(懐疑的)にこの本についてご紹介しよう。

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ネットでは、しばしば「治験ボランティア募集」というページにお目にかかれる。

では、治験とは何か。

治験というのは、かんたんにいえば人体実験である。

『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』は、その人体実験のプロの話である。

本書のご紹介の前に、まず、治験についてもう少し詳しく書こう。

新薬は通常、長い期間をかけて開発されている。

培養細胞や、動物実験などでさまざまなテストを繰り返し、有効性の確認と安全性の評価を行うのだ。

しかし、それだけでは医療現場で使う訳にはいかない。

やはり、ヒトを対象に行う試験も行い、安全性と効果を最大限発揮できる状態を確認しなければならない。

そこで、ヒトを対象とした「治療を兼ねた試験」が治験である。

もっとも、治験は第1相から第3相まで行われるが、第1相は該当する患者ではなく、まず健康な成人が実験台になる。

そして、ヒトに対しても安全で効果があることがわかったところで、第2相、第3相で、その新薬を必要とするケガや疾病の患者が「お試し」をするのである。

簡単にご紹介すると、第1相では、開発中の薬剤を投与。安全性および、薬剤が体にどのように吸収され排泄されていくかといった薬物の体内動態について確認する。

薬剤の量を徐々に増やして安全量の限界を調べる「漸増法」や、用量を固定して1週間近く毎日定期的に投与する「反復投与試験」などがある。

第2相は、比較的少数の患者に対し、第1相試験で安全性が確認された用量の範囲で、投与回数、投与期間、投与間隔などといった投与の方法、もっとも効果的な用量などを薬剤投与で確認する。

第2相試験は「探索的臨床試験」とも呼ばれている。

第3相では、多数の患者に対して薬剤を投与し、既存の薬と何が異なり、どこが優れているかを調べる比較試験を二重盲検法行う。

まあ、要するに段階的に実際の臨床現場で使える状態まで慎重に進めるわけである。

「治験ボランティア」とは、その第1相の「健康な成人が実験台になる」ことをさす。

「実験台」というと言葉は悪いかもしれないが、その治験の段階があるからこそ、新薬は市場や医療現場に登場できるのだ。

プロ治験者たちは足を洗えないニートたち!?

さて、『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』であるが、「職業治験」というタイトルで、本文中では「プロ治験者」と表現されている。

“治験で食べている”という意味だが、治験は「ボランティア」が建前であり、そのような職業は本来成立し得ない。

しかし、実際には、時間と肉体を拘束し、侵襲性もあることから、その「負担」を補う意味で、「負担軽減費」と称する“謝礼”が被験者には渡される。

いろいろな治験を受けて、その“謝礼”を稼ぐ「仕事」が、プロ治験者ということである。

といっても、通常の投薬や貼り薬、飲み薬などの「モニター」程度では、それほど多額の「負担軽減費」が入るわけではない。

プロ治験者は、病院に1ヶ月、2ヶ月と長期入院し、数えきれないほど採血され、薬も服用する治験で、1回何十万という「負担軽減費」を得るのだ。

たとえば、骨の再生を早める薬の治験があると、治験者は、実際に何の問題もない自分の骨を折る。

本当に折ってその薬の効き具合を確かめるのだ。

本書によると、その治験は、2ヶ月入院で80万円だそうである。

プロ治験者は、そのようなロットの大きな治験を探して稼ぐのである。

『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』の著者は、大学卒業後、せっかく入った一部上場企業をささいなことで退社。

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以来、再就職もアルバイトもせず、のんべんだらりと過ごしていたが、医大生の兄が治験の重要性を説いていたことを思い出し、お小遣い稼ぎで治験に応募したことが始まりという。

23歳から28歳までで、治験で1000万円は稼いだという。

ただし、それだけでは家族を養うほどの金額にはならない。

プロ治験者は、親の扶養家族になっているニートが多いという。

その一方で、入院生活は酒タバコもできず生活も管理されるから、健康オタクであるという。

ところで、治験第1相は、ヒトとしてははじめての人体実験になるから、健康な成人が行うと書いたが、その中でも若い人が求められる。

つまり、いつまでも現役でできるわけではなく、加齢とともに次第に治験の機会が減ってくる。

いずれは「引退」をしなければならないが、いったん、働かなくてもお金がもらえることを覚えてしまうと、なかなか足が洗えないそうである。

しかし、この「仕事」には、何ら積み上げるキャリアなどないので、「引退」しても、それをいかして就職したり起業したりできるわけではない。

つまり、プロ治験者でいる間は、たんなる時間と体の無駄遣いでしかないわけである。

そう考えると、職業治験というのは、その人の人生をスポイルしてしまいかねないものである。

そんな経験や治験の仕組みを詳しく教えてくれているのが、本書『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』である。

治験ボランティアの募集

と、プロ治験者について重いことを書いたが、ちょっと気になるところがある人が、医療現場に登場するよりも一足早く、新薬を「お試し」しながら社会のお役にもたつというポジションで、治験ボランティアに参加するのはいいかもしれない。

以下、ネットで募集している治験ボランティアを枚挙する。

SVO新規モニター登録プログラム


「SVOでは、食品・健康食品・治験モニター登録者を募集しております。モニターの方には一般食品や製品をお試し頂きます。」とのことです。

リッチモンド・ファーマコロジー




リッチモンド・ファーマコロジーの治験に参加するボランティアの皆さんは健康診断を無料で受けることができます。

万が一、健康に重篤な問題が見つかった場合は、専門施設でより詳しい検査を受けるために紹介状および弊社での検査結果を提供いたします。

【健康成人向けの治験】ヒューマンリンク



健康成人男女の治験募集を随時行っています。

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「ニキビをどうしても治したいけど、治療費が心配…」という方は是非!
モニターの参加登録も簡単です

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『新薬ネット』では、独自に構築した情報ネットワークを駆使し、新薬モニターアルバイト情報をできるだけ豊富に取り揃えるとともに、会員の皆様が新薬モニターアルバイトにスムーズにご参加いただけるようサポートさせていただきます。

といったところである。

職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々

職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々

  • 作者: 八雲 星次
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/09/12
  • メディア: 単行本

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